地方都市のオフィス容積率が緩和されるというニュースは、一見すると朗報に思える。しかし、果たしてこれが本当に地方活性化のためになるのか、はなはだ疑問だ。国交省が掲げる「職住近接」の理念も、結局は働き方改革の名の下に東京圏への集中を抑えたいという建前に過ぎないというのが、本音なのかもしれない。
まず、職住近接な生活を送りやすくするためのオフィス容積率の緩和。地方都市の企業にとっては、コスト面でのメリットがあるのは事実だ。しかし、この政策が本当に地方に新たなビジネスチャンスをもたらすのか、そこに目を向ける必要がある。地方で働く人が増えるという想定が立つ一方で、地方企業が受け入れられるだけの魅力的なオファーを用意できるのかは、また別の問題だ。正直なところ、今さら地方企業が魅力的だとは思えないというのが、多くの人の本音ではないか。
このニュースには、もう一つ皮肉な側面がある。「東京一極集中」を抑えるといいつつ、結果的に地域格差が広がるだけではないか、という点だ。東京に住み続けながらリモートワークで地方のオフィスに出勤するという、新たな働き方が広まってしまったら、本末転倒だ。さらに、地方の中小企業は人材確保に苦労している現状があり、地方でオフィスを構えても人員が集まるのかは甚だ疑問。東京から人を引き寄せるためには、魅力的な生活環境や待遇を用意する必要があるが、それまで背負うリスクは小さくない。
加えて、東京から地方に移住する人々の多くは、都会の利便性や生活の質を維持したいという想いを抱えている。つまり、もし地方に移るとしたら、仕事場の近さだけでは満足できないのだ。たとえば、飲み会の楽しさや、友人との関係性も重要な要素で、これらが失われることで地方移住が敬遠されるのは自明の理だ。
30〜50代のSPA読者にとっては、今や地方に出ることが新卒時代に比べてハードルが高いという実感があるはず。リストラの危機や転職の不安が街中に漂い、「好きな仕事を続けたい」一心で耐える日々。そんな中、地方移住が仕事の選択肢として浮上するのは、そう簡単ではない。果たして、みんなが求める仕事環境や報酬が地方に用意されるのか、その信頼に値するのか。
こうした状況を鑑みると、やはり中央政府の施策は机上の空論に過ぎないのではないか。政策ごときで人を動かそうとしても、実際に人が住むのは地域の現実や情報なのだと再認識する必要がある。魅力的な仕事が提供されなければ、地方に住むことはただのスローライフの夢で終わるのだ。
正直な話、このニュースを「他人事」で済ませるのは簡単だ。問題は、自分の仕事や給料にどう跳ね返ってくるか、だ。


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